第六話 「ヤマト、再びの発進!」第六話 「ヤマト、再びの発進!」N:西暦2210年、地球防衛軍は太陽系にせまりつつある移動性サルガッソーを 確認した。その調査するため派遣された調査船団は、銀河系中心部で 謎の艦隊の攻撃を受けた。 また火星基地近くのアルカディア居住地区も、アスカ艦隊第二空挺部隊の 艦載機による空爆を受け、古代の妻ユキと息子猛が人質となった。 密かに火星地下のミランコビッチドッグで蘇った新宇宙戦艦ヤマトは、 サルガッソーの調査と謎の敵の正体を解明するため、 旧ヤマト乗組員を中心に、出航準備を急いでいた。 ~スサノオ帝国・銀河系前線基地~ ルバルス:アスカ提督、火星にて不穏な動きがあります。 アスカ提督:何だ? ルバルス:はい、ヤマトです。 アスカ提督:大帝が予想しておられた通りだな。 ルバルス:あのデスラーやルガールを破ったヤマト…。 アスカ提督:ヤマトに勝手はさせぬ。こちらには切り札があるのだ。 捕らえた親子を早いところスサノオ本星に送致しろ! くれぐれも慎重にやるのだぞ。大事な人質だ。わかったな! ルバルス:はい、提督。 アスカ提督:次元転移ミサイルの準備は良いか? スサノオ兵:アンドロメダ他、巡洋艦にも搭載済み、いつでも出撃可能です! アスカ提督:フフフフ、ヤマトめ。太陽系を出られると思うなよ。 わがアスカ艦隊の力、見せてくれるわ! ~スサノオ帝国連邦・軍作戦司令本部~ スサノオ兵:反世界銀河系中心部バウンダリーに地球の調査船団が接近中。 エノラ参謀長:以前アスカの艦隊とすれ違ったあの船団であろう。 スサノオ兵:主力艦3隻、巡洋艦15隻、空母2隻の合計20隻です。 エノラ:今、バウンダリーに近付かれるのはまずい。移動するサルガッソーで あると思い込ませておくのだ。バウンダリーの移動速度を2倍にしろ! それから銀河系外周基地のダーデルに連絡を取れ! スサノオ兵:はっ! ~スサノオ帝国連邦・銀河系外周基地~ スサノオ兵:ダーデル軍曹、本星作戦司令本部のエノラ参謀長殿よりお電話です。 エノラ参謀長:ダーデルか。 ダーデル軍曹:参謀長、いよいよ私の出番ですかな? エノラ参謀長:ひとつ頼みがある。 ダーデル:何なりと。 エノラ:地球の邪魔な船を何隻か蹴散らしてもらいたい。 ダーデル:アスカ提督の艦隊と遭遇した艦隊ですね? エノラ:知っておったのか、では話が早い。 ダーデル:取るに足らない艦隊です。 エノラ:頼むぞ。 ~調査船団 旗艦 イスカンダル主艦橋~ 乗組員A:艦長、サルガッソーの移動速度が上がりました! 艦長:スピードは? 乗組員A:倍のスピードです。 艦長:何だと! 乗組員A:我々が調査可能な空域まであと二日です。 艦長:まずは調査だ!詳しい情報が知りたい。 乗組員B:地球防衛軍司令部に報告しますか? 艦長:うむ。…いや、待て!火星だ。 乗組員B:火星? 艦長:長官と相談役は火星におられる。 乗組員B:了解、火星基地へ連絡します! ~ヤマト・作戦司令室~ N:その頃、ヤマトの作戦司令室には、真田、北野を中心に、古代艦長以下 メインスタッフが集結していた。 床に映し出された大パネルの側には、宇宙物理学の権威サイモン教授もいた。 真田:出航前に現在の状況を説明しよう。 こちらは今回サルガッソーの詳しい分析をして頂いたサイモン教授だ。 サイモン:サイモンです。古代艦長には以前大学の研究室でお目にかかりましたね。 古代:はい。あの時は核融合の異常増進で膨れ上がる太陽について教えて頂き、 大変参考になりました。 サイモン:今回はもっと厄介なサルガッソーです。 北野:何せ動くんですからね。 サイモン:いや、そうではないんです。 北野:とおっしゃいますと? サイモン:ええ、このグラフを見てください。これはサルガッソーから発生している 電磁波を変換して書いたものです。ここを見てください。 これにはある一定周期のリズムが見られる。もしもこれが自然に 作り出されたものであったら、このようなパターン化した波は 起きない筈です。 真田:人工? サイモン:おそらく。 古代:つまり、この移動するサルガッソーが何者かに作り出された物だと おっしゃるんですか? サイモン:そうです。 相原:いったい誰が。 南武:何のために。 サイモン:何かをカモフラージュしているのではないでしょうか。 古代:カモフラージュ? サイモン:ええ。 真田:その裏に何かもっと恐ろしいものが存在するということですか? サイモン:それはわかりません。ただ、あのサルガッソーが接近すれば、 地球はおろか太陽系全体が飲み込まれて消滅するでしょう。 北野:平行宇宙に飲み込まれる・・・。 サイモン:おそらく・・・。 古代:そうなってからではすべて終わりだ。それで、サルガッソーが太陽系に 最接近するのはあとどのくらいなんですか。 サイモン:そ、それは・・・。 真田:実はな、ついさっき長官あてに調査船団から報告があったんだよ。 北野:サルガッソーの移動速度が2倍に上がったそうです。 古代:なに? 真田:おそらく、このままのスピードならあと150日くらいだろう。 南武:あと5ヶ月じゃないか。 相原:どうすればいいんだ! 古代:真田さん、とにかく行きましょう! 真田:うん。サルガッソーを作り出し、移動させている奴らがいるに違いない。 南武:ユキさんとタケル君をさらった奴らでしょうか。 真田:可能性はあるな。すぐに発進しよう! 古代:ええ。 ~ヤマト・第一艦橋~ 山崎機関長:補助エンジン内、圧力上昇。始動30秒前。 真田:艦内、全機工異常なし、エネルギー正常。 古代:総員発進準備。 アナウンス:総員発進準備。 山崎:補助エンジン動力接続。 徳川太助:補助エンジン動力接続。 山崎:補助エンジン低速回転1600。両舷バランス正常パーフェクト 古代:タラップ上げろ、船台ロックオープン。 山崎:シリンダー内圧力50%。 島次郎:微速前進0.5 浮き上がるヤマト 古代:いいぞ、島、その調子だ。 山崎:波動エンジン内シリンダーへの閉鎖弁オープン。波動エンジン始動5分前。 波動エンジン内圧力上昇、エネルギー充填90%。 次郎:補助エンジン最大速力、上昇角40、 山崎:波動エンジン内エネルギー充填120%、フライホイール始動。 次郎:波動エンジン点火10秒前。 5、4、3、2、1、フライホイール接続、点火! 古代:ヤマト、発進! 地下ドックから飛び立つヤマト。 沖田艦長のレリーフ 次郎:全艦異常なし、火星大気圏内航行、主翼全開。 火星大気圏を抜けるヤマト。 藤堂相談役:沖田君、君の子供達が、ヤマトが、再び行く…。 N:轟音をあげついに新宇宙戦艦ヤマトは発進した。 銀河系中心部から速度を上げて迫るサルガッソー。 その脅威が地球に最接近し、人類滅亡まで、あと100と50日、 あと150日しかない。 続く |